投資指標 PER の落とし穴 ~指標だけでなく、決算資料まで理解する重要性~

投資の考え方

 投資指標の PER は株価の割安感を知るうえで便利な指標ですが、それだけに頼ると間違いを起こすことがあります。今回は最近体験した実例をもとに説明していきたいと思います。

PERの落とし穴とは?

 投資指標の一つ、PER は投資先が割高か、割安かを判断する指標として有名ですし、直観的にとても分かりやすいですね。私も興味のある銘柄については最初に確認する指標です。ただ完全に信用すると時に落とし穴にはまることがあります。それは特別利益など通常の会社活動以外で発生した利益が生じている場合、その年の会社の利益がかさ上げされている場合があるからです。また特別損失など一過性の損失が出た場合は逆に PER に実力が反映されず、割高に見えてしまうことになります。具体的に事例を見てみましょう。

例1.森永乳業

 先日森永乳業に記事をネットでみていたのですが、その記事によると PER が一桁台で割安ということでした。同業の雪印メグミルクはPERが11~12倍、ラクトジャパンは13~14倍ですから、そこと比べると割安ですね。ただよくよく調べてみると今年は固定資産譲渡益が200億円上乗せさせており、それが今期利益を押し上げていたのです。四季報によれば EPS は21年3月期が 378.7 に対し、22年3月期は 739.3 と倍近くに伸びています。しかし営業利益は21年3月期に対して22年3月期予想は13%の伸びです。(13%伸びているので業績そのものはよさそうですが)つまり固定資産譲渡益のない実力通りのEPSは 410~430 程度になると思われます。そうすると 16~17倍程度になりますので見方がだいぶん変わってきますね。少なくとも PER が一桁台だから割安とはならないのです。

例2.バリューコマース

 バリューコマースについては逆に実力が過少に評価される状態となっています。21年12月期は本社移転の費用がかかり、EPSは20年12月期が132.1に対して21年12月期は99という予想です(四季報)。しかし営業利益は6218百万円(20年12月期)にたいして21年12月期予想は7700百万円と大幅増を見込んでいます。バリューコマースの21年12月期第一四半期の決算発表でEPSが前期より悪くなっていたために株価も下がりましたが、きちんと決算報告書を見ていれば営業利益は伸びており順調に成長していること、EPSの悪化が本社移転の一時的な費用だとわかったわけです。そのため当時の下落は仕込み時でしたね。現在は見直され順調に株価が伸びてきています。

 以上、今回はPERの落とし穴についてまとめてみました。皆様にとって有意義な情報となっていると良いのですが。

 それでは、また。

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