現代ポートフォリオ理論によれば資産のリターンはポートフォリオで9割決まるといわれています。なのでポートフォリオは非常に重要ですね。しかし重要な分、なかなか決まらないこともあるかもしれません。そのような場合、他の人や団体がどのような運用をしているかも参考になるのではないでしょうか?今回は様々な団体や著名人のポートフォリオについてまとめてみました。
ノルウェー政府年金基金
世界最大級のファンドで運用規模は 100兆円以上となっています。積極的な運用で知られており、また近年は ESG 投資にも取り組んでおり、石油、天然ガス銘柄からの撤退でも話題となりました。後述しますが、過去のリターンも良好です。2019年末のこちらのポートフォリオは以下のようになっています。

データは下記を参考にさせていただきました。

株式、債券ともに非常に分散させており、株式の分散先だけでも下記の通りとなります。日本が3番目の投資先なのですね。アメリカへの投資の規模が際立っています。

CPPIB
カナダ年金制度投資委員会が運用しています。こちらは運用資産が 20年3月末で約31兆円となっています。ポートフォリオはGPIF のホームページから参考させていただきました。

株式が 85% と積極的な運用を行っています。
日本の年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)
こちらも世界最大級のファンドで私たち日本国民に深く影響しています。私たちの年金はこのポートフォリオで運用されているのです。近年株式比率を上げましたが、それにより資産の振れ幅が大きくなりました。マスコミは資産が大きく下がったときは大々的に報道しますが、大きく増えたときは全くと言っていいほど触れませんね。この辺りが日本国民の投資に対する姿勢を形成しているのではと感じます。さて、この GPIF のポートフォリオですが、以下の通りです。

株式と債券を半分半分、国内と海外も半分半分ですね。ただGPIFのポートフォリオは何度か大きな変更がなされたので、過去のポートフォリオとその際のリターンもまとめてみました。

大分アクティブになってきましたね。リーマンショック時は保守的なポートフォリオだったのでラッキーでしたね。
CalPERS
CalPERS はカリフォルニア州職員退職年金基金のことでして、1932年に設立された米国最大の公的年金基金です。積極的な投資姿勢で知られています。そちらの 2020年9月末のポートフォリオ、および目標としているポートフォリオが以下となります。

株式の割合が 6 割弱、債券は3割弱でさらに REIT やその他の資産も積極的に利用しています。株式の割合が高いですね。また債券も 3% はハイイールド債です。
ノーベル財団
ノーベル財団はノーベルの遺産を運用してノーベル賞の選考や賞金を提供している財団です。その活動資金は全てノーベルの遺産を運用して賄っています。2019年の Annual report によれば、ポートフォリオは以下の通りとなります。

株式 47% (2018年は44%、以下の ( ) 内も2018年の実績) の内訳ですが、おおよそでスウェーデン国内におおよそ 9% (9%)、スウェーデン以外のヨーロッパ諸国に5% (9%)、アメリカに8% (9%)、グローバル株式(全世界のこと?)に13% (5.5%)、新興国に6% (5.5%)、未公開株に4% (3%)、その他に 2% (3%)となっています。レポート中のGlobal equities をグローバル株式と訳しましたが、グローバル株式のインデックスでしょうか?ここについては詳細が不明でした。2018年と2019年の間でもそれなりに株式間で資産配分を変えているのですね。
オルタナティブの部分はヘッジファンドが組み込まれており、異なる戦略を有する5つのファンドを保有しているようです。また不動産の部分ではREITのファンドとインフラファンドに計9つ投資しているとのことです。
ポートフォリオは資産も地域も分散させて、しっかりとリスクマネージメントをしていますね。
次にノーベル財団の過去のリターンを調べてみました。

リーマンショック時はかなりへこんでいますが、それでも過去12年のリターンの平均は 6.2% (リーマンショック時を除くと 8.5%) でした。ポートフォリオの内訳は年によって少しずつ変わっているのですが (以下参照)、私もこれくらいのリターンが得られるように頑張りたいですね。

(THE NOBEL FOUNDATION ANNUAL REPORT 2019 より抜粋)
レイ・ダリオのオールシーズンズポートフォリオ
有名な投資家レイ・ダリオが個人投資家向けに紹介したポートフォリオが以下です。

ただコモディティは変動が激しかったり、国内ではなかなか良い投資先がなかったりするので日本の個人投資家界隈ではコモディティをすべて金に置き換えて議論している場合もあります。その場合は下記のような配分となります。

過去のリターンとしては改としたポートフォリオの方がよいですね。
レイ・ダリオは個人投資家のリスク許容度は本人が思っているよりも小さいこと、株式のリスクが債券のリスクより3倍あるとの観点から、株式のポートフォリオを 30% とし、代わりに債券の割合を増やすことで景気後退時の株価下落を債券で和らげることを目的としています。またインフレヘッジを目的として金、コモディティを組み入れています。口述しますが、このポートフォリオの強みは下落相場でも安定していることです。
なお、こちらの書籍でこのポートフォリオが紹介されています。興味のある方はどうぞ。
今回紹介した財団やポートフォリオのリターンは?
それでは今回紹介した財団やポートフォリオの過去のリターンを見てみましょう。過去のリターンは下記のとおりです。CalPERS、CPPIB、GPIF、GPF-G の数値は GPIF のホームページに記載のある数字を記載しています。GPF-G とNobel 、オールシーズンズは年末の数字、その他は年度末の数字です。

注目すべきはオールシーズンズ改の安定性です。リーマンショック時にも利益が出ており、リターンがマイナスになった年も他の運用機関と比べるとその値は小さいです。各財団ともポートフォリオは徐々に変わってきているので、最新のポートフォリオが過去のリターンを示しているわけではない点に注意ください。例えばGPIFは先述したとおりに株式比率を高めてきており、過去と比べて値動きは大きくなってきています。
次に2008年初めを 100 とした場合、各ポートフォリオで運用した結果です。
運用団体 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
CalPERS | 70.9 | 88.8 | 100.4 | 104.1 | 115.5 | 131.3 | 139.3 | 139.0 | 153.0 | 170.0 | 175.8 | 175.1 |
CPPIB | 81.4 | 93.5 | 104.7 | 111.6 | 122.8 | 143.1 | 169.9 | 176.1 | 197.6 | 220.6 | 240.2 | 247.6 |
GPIF | 92.4 | 99.7 | 99.4 | 101.7 | 112.1 | 121.7 | 136.7 | 131.5 | 139.2 | 148.8 | 151.1 | 143.2 |
Nobel | 81.0 | 92.7 | 97.8 | 95.2 | 102.6 | 118.4 | 137.1 | 147.6 | 156.5 | 169.9 | 167.5 | 194.3 |
GPF-G | 90.5 | 113.6 | 119.1 | 122.5 | 136.0 | 158.5 | 213.2 | 214.9 | 242.2 | 251.7 | 275.3 | 309.7 |
オールシーズンズ | 102.1 | 103.7 | 117.2 | 136.8 | 146.3 | 148.5 | 168.4 | 162.1 | 171.6 | 191.6 | 185.4 | 219.8 |
オールシーズンズ改 | 105.9 | 108.6 | 124.5 | 146.5 | 157.5 | 156.8 | 181.4 | 177.8 | 187.9 | 211.1 | 206.1 | 244.7 |
いずれのポートフォリオでも増加していますね。この10年は株式も好調だったので、株式のアセットが多いとリターンも高い傾向にあるように思いますが、GPF-G のリターンがすごいですね。
最後に
今回は投資家にとって重要なポートフォリオについて、規模の大きい財団や年金機構のポートフォリオを参考にしてみました。株式比率がある程度大きいですね。ただこれらの財団はその財団が続く限り運用を続けていきます。一方、我々個人投資家には寿命があり、運用期間が限られていることも考慮すする必要があります。個人投資家のポートフォリオについては別途また取り上げていきたいと思います。
それでは、また。
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