インフラファンドとは:その② ~資産運用報告書から収益構造、分配金を理解する~

パフォーマンスレポート インフラファンド

 前回はインフラファンドの概要について説明しました。今回は決算書を見ながらその収益構造についてもう少し理解を深めてみたいと思います。まずは東京インフラ・エネルギー投資法人の過去の決算を見ていきましょう。

項目18年12月~19年11月19年12月~20年11月
営業収益(百万)12571570
うち再生可能エネルギー発電設備等の賃貸事業収益(百万)12571570
営業費用(百万)8291254
うち再生可能エネルギー発電設備等の賃貸事業費用(百万)7371116
営業利益(百万)427316
経常利益(百万)315221
当期純利益(百万)308219
発行済投資口9182591825
一口当たりの純資産額9169788110
一口当たりの分配金59806000
一口当たりの利益分配金32502393
一口当たりの一時差異等調整引当金200253
一口当たりの利益超過分配金25303354
減価償却費(百万)661835
賃貸NOI(百万)11801289
FFO(百万)9701054
一口当たりFFO1056411487

 一般的な企業の売上に相当するのが「営業収益」です。このうち再生可能エネルギー関連で稼いでいるのがいくらか、というのが「うち再生可能エネルギー発電等の賃貸事業収益」ですね。次にインフラファンドの運営を行うにあたり発生する費用が「営業費用」となります。このうち「 うち再生可能エネルギー発電設備等の賃貸事業費用」には管理委託費、保険代、水道光熱費や減価償却費などが入ってきます。残りの営業費用には役員報酬や資産運用報酬が入ってきているようです。これらの費用が除かれたのが営業利益となります。そこから支払利息などの費用を引いたものが経常利益です。一般的な会社ですとここから法人税などがひかれて残りが純利益となりますが、インフラファンドは当面の間は一定条件を満たせば法人税は課されないため経常利益と純利益はほぼ同じとなります。純利益が手元に残る利益となります。図にすると以下のような感じかと思います。

 次に発行済投資口ですが、このインフラファンドの発行されている株数というイメージでよいかと思います。この法人ですと 91825 口買えば、100% の口数を購入したことになります。なのでインフラファンドが保有している資産を発行済投資口数で割ると一口あたりの純資産額となりますね。

 そして次が分配金となります。今回のケースでは分配金の種類が三つあります。利益分配金、一時差異等調整引当金は投資家が受け取る際に課税対象となること、利益超過分配金は無税であることを覚えていれば十分かと思います。それぞれについて詳細はまた別の機会にまとめてみたいと思います。

 次が減価償却費です。これは工場などの大型の設備(インフラファンドの場合は太陽光発電所) を購入した際に発生します。大型の設備を購入すると多額の費用が掛かります。これを発生した年に一度に計上すると企業業績が一気に悪化して見え、正しく企業業績が判断できません。そのため一定の年数で分割して計上していくことを減価償却といいます。太陽光発電所の場合は 17 年で計上するようです。こちらは営業費用として計上されますが、実際に発生した年は違う年、ということになります。インフラファンドの場合、その事業上減価償却費が大きいので重要となってきます。営業費用を分解すると以下の図のようになります。

 次に出てくる賃貸NOIですが、「再生可能エネルギー発電設備等の賃貸事業収入-再生可能エネルギー発電設備等の賃貸事業費用+減価償却費」と定義されています。インフラファンドの営業活動は再生可能エネルギー発電ですが、その純粋な事業から得られる収入から事業に係る純粋な費用を引くことで、インフラファンドとしての純粋な事業利益がわかるのです。また減価償却費は実際にはこの年には発生していないので、営業費用上は計上されているので最後に足すこととなります。

 FFOは「当期純利益+減価償却費±再生可能エネルギー発電設備等売却損益」と定義されています。投資家にとっての利益はここなので、個人的には一番注目すべき数字と思います。これを発行済投資口で割ったものが「一口当たりFFO」です。一口当たりFFOは株でいうところのEPSに近いかと思います。

 ここまで資産運用報告書に掲載されている言葉について解説してきました。次回はインフラファンドの魅力である分配金についてまとめていきたいと思います。

 今回弊ブログでインフラファンドについてまとめてきました。インフラファンドに長く興味があり投資もしてきていましたが、今回勉強してみて今まできちんと理解できていなかったことも多かったと改めて感じましたね。素人なりの理解ですが皆様の参考になりましたら幸いです。これまでのまとめ記事も紹介しておきます。

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 それでは、また。

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